中性子産業利用推進協議会

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    - より多くのタンパク質の水素原子がiBIXで観測可能に -

8月23日プレスリリース
茨城大学     
茨城県      
J-PARCセンター

 茨城県生命物質構造解析装置「BIX」はJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)に設置された、単位格子の3辺の長さ(格子長)がそれぞれ135Å(=13.5nm)という非常に大きいタンパク質結晶の構造解析に対応した中性子回折計です。結晶の単位格子の体積が大きくなると、結晶からの回折点の数が増えて重なりを生じることや、測定する結晶に含まれる単位格子の数が減って回折強度が弱くなることため、精度良くデータを得ることが困難になります。そこで今回、一点一点の回折点の重なりを考慮する新しいソフトウェアを開発し、iBIXの目標値に相当する格子長を持つ、結晶格子体積が大きい高度好熱菌 Thermus thermophilus HB27株由来のマンガンカタラーゼの中性子単結晶構造解析を行い、このタンパク質中の水素原子を明瞭に観測することに成功し、格子長に関わる目標の達成を確認しました。この結晶格子の体積(2373nm3)は、これまでに中性子により構造解析された150余りのタンパク質の最大格子体積(913nm3)の2倍以上です。
 J-PARCの加速器出力は、実験当時は150kWでしたが,定格出力の1MWが達成された場合、今回の実験で正味12日余りを必要とした測定時間が2日程度にまで短縮される見込みです。
 本成果は、これまでの中性子回折計では測定が不可能であったタンパク質の中性子結晶構造解析の可能性を大きく広げるものです。今後、iBIXが、より多くの種類の酵素反応の水素原子の役割の解明や、タンパク質複合体の相互作用で重要な水素原子の動きの観測などの基礎研究において利用されると、その成果が産業用酵素開発や医薬品設計などに貢献することが期待されます。

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