中性子の産業応用セミナー

 

「中性子源と中性子の産業利用」

X線に比較して中性子は,軽元素,磁気,原子運動の検知能力,および物質透過能力において優れています.原子炉中性子源JRR-3あるいはパルス中性子源J-PARC/MLFで発生させた中性子は,学術研究および産業利用に広く利用されています.ここでは,中性子源の概要と,中性子の産業応用事例のいくつかを紹介します.

 

中性子の基礎」

中性子の性質および特徴を,馴染みの深いX線と比較しながら,平易に解説します.

 

中性子粉末構造解析」

中性子散乱法のうち最も良く使われている中性子粉末回折法についてその原理JRR-3J-PARC/MLFに設置された回折装置回折データ解析などの特徴を解説しますまた構造解析例についても紹介します

 

「中性子小角散乱による材料内部の微細構造解析」

中性子小角散乱装置を利用すると,鉄鋼や金属材料中の析出物や介在物など微細な組織の形状,寸法,ならびに,分散状態を,ナノからマイクロメートルのサイズで解析できます.

JRR-3SANS-Jによる解析例,および,J-PARC/MLFに新たに設置されたBL15「大観」の概要について紹介します.

 

「中性子小角散乱による高分子材料の構造解析」

JRRR-3にある中性子小角散乱装置および極小角散乱装置を利用することにより,高分子材料がつくる組織構造をナノからマイクロメートルのサイズで解析できます.小角散乱による高分子の構造解析技術と,RAFT法によるポリスチレン/ポリメチルメタクリレートの合成過程のその場観測結果などの事例を紹介します.

 

「構造物内部の残留応力測定」

中性子はX線に比して侵入深さが極めて大きく,鉄鋼でも25mm程度の内部のひずみや応力を測定することができます.構造物の信頼性に関わる残留応力の測定技術と,配管溶接部やエンジンブロックなどにおける残留応力測定例を紹介します.

 

中性子ラジオグラフィ

中性子は水素元素によって減衰され易い反面,金属を良く透過する性質を持っています.この性質を利用した製品内部の観測やエンジン内部の油の動きの観察などを紹介すると共に,この手法の工業製品などへの適用例を紹介します.

 

「即発ガンマ線分析」

中性子を試料に照射すると,試料に含まれている元素固有のガンマ線(即発ガンマ線)が発生します.それをエネルギー分散型の半導体検出器で分析することにより,試料に含まれている元素を一度に解析することができます.即発ガンマ線分析の基礎と,工業製品や植物の産地同定などへの適用例を紹介します.

 

「中性子反射率測定」

中性子反射率法は,物質界面や薄膜の深さ方向の密度分布の観測に有力な手段です.同位体(重水素ラベル法)や磁気を識別できる中性子の特徴を利用して,ソフトマターの界面・薄膜構造から磁性薄膜の磁気構造まで様々な物質・材料界面の構造観察に幅広く適用することができます.ここでは,反射率法の原理から応用事例まで解説します.

 

「ガラス・非晶質材料の構造解析」

中性子散乱(回折)法は,結晶構造だけでなく,ガラスや高分子などの非晶質材料の乱れた構造を捉えるにも基本的かつ大変有力な手段です.X線と異なり水素などの軽い元素がよく見える,広い運動量空間を測定できるなどの中性子の特長と、逆モンテカルロ法による構造モデリング法を併用して,様々なガラス・非晶質材料の構造やその材料の機能を支配する構造的な特徴を把握することができます.ここでは,中性子散乱法の原理から構造モデリング法まで実例を含めて解説します.

 

「非弾性散乱による材料の機能解析」

高温超伝導体や超イオン伝導体などの機能性材料で観測される特異な機能は,物質内部の原子やスピンの微小運動(ダイナミクス)と深く関わっていますが,ダイナミクスに関する情報は中性子非弾性散乱実験を通じて詳細に得ることができます.従来の構造解析に加えて,中性子非弾性散乱実験によりダイナミクスを測定することにより,機能性材料の最適化設計にブレークスルーをもたらすことも可能です.ここでは,中性子非弾性散乱法の原理から応用まで実例を含めて解説します.