↑member only

中性子産業利用推進協議会

〒319-1106
茨城県那珂郡東海村
白方162-1
いばらき量子ビーム研究センター D201
中性子産業利用推進協議会事務局
TEL:029-352-3934
FAX:029-352-3935
お問い合わせはこちら

カウンタ: 

                                  2017年9月8日
                                   東京工業大学ほか

   フラストレーションと量子効果が織りなす新奇な磁気励起の全体像を
   中性子散乱で観測
          -新しい磁気理論の指針を提示-

【研究成果の要点】
 ・三角格子量子反強磁性体の磁気励起の全体像を中性子散乱実験で捉えた
 ・分数スピン励起などの新概念を示唆する磁気励起を観測
 ・フラストレーションと量子効果が生む新たな物性研究の進展に期待

【概要】
 東京工業大学の伊藤沙也院生(現千代田化工建設)、栗田伸之助教、田中秀数教授、日本原子力研究開発機構の中島健次研究主席、河村聖子研究副主幹、高エネルギー加速器研究機構の伊藤晋一教授、茨城大学の桑原慶太郎教授、総合科学研究機構の加倉井和久サイエンスコーディネータの研究グループは、量子効果が顕著な三角格子反強磁性体の磁気励起の全体像を中性子散乱実験で初めて捉えました。

 研究グループは、三角格子反強磁性体の理想的なモデル物質「アンチモン酸バリウムコバルト(Ba3CoSb2O9)」に着目し、大型単結晶試料を作成、中性子を入射して、散乱中性子のスペクトルを高精度で解析。通常の磁性体で見られる磁気励起とは大きく異なる新奇な磁気励起について詳細を明らかにしました。従来の磁気励起の最小単位よりも細かい単位の励起(分数励起)の必要性を示唆する結果となり、フラストレーション※3(図1)と量子効果が新たな物性研究のフロンティアを開くこと、精密な中性子散乱実験が新奇な電子物性の解明につながることを示す成果となりました。

 通常の磁性体の磁気励起は、磁気の担い手である電子のスピンが平衡位置のまわりで起こす小さな歳差運動が、波として結晶全体に伝搬する"スピン波理論"で表されます。その一方で、スピンが小さい三角格子反強磁性体では強いフラストレーションと量子力学的効果で、スピン波理論が成立する波長領域は、極めて限定的であることが理論的に知られていました。本研究では、この現象を実証するとともに、磁気励起を統一的に説明する新しい理論の必要性を明確に示しました。

 この成果は8月10日付けの英国の学術誌「Nature Communications」電子版に掲載されました。

 詳細につきましては下記の資料
フラストレーションと量子効果が織りなす新奇な磁気励起の全体像を中性子散乱で観測

あるいは、下記のURL
 http://j-parc.jp/ja/topics/2017/Press170908.html

または、下記のURLをご参照ください。
 http://www.cross-tokai.jp/ja/publications/press/2017/201709081600.shtml