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中性子産業利用推進協議会

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J-PARCセンターでは平成29年3月14日に
 東北大学金属材料研究所
 東北大学原子分子材料科学高等研究機構 (WPI-AIMR)
 量子科学技術研究開発機構
 高エネルギー加速器研究機構
と共同で題記成果に関してプレスリリースしましたのでご報告致します.

成果の詳細については下記のURLをご参照ください.
   http://j-parc.jp/ja/topics/2017/Press170314.html

成果の概要は下記の通りです.
✣水素と反応しにくいとされていた金属原子に9つもの水素を結合させることに
  成功
✣本成果により、ほとんどの金属原子と水素とを結合させる技術が確立
✣水素を高密度に含む物質群の探索とその基礎・応用研究が拡大

 東北大学金属材料研究所の高木成幸准教授と同大学原子分子材料科学高等研究機構 (WPI-AIMR) /金属材料研究所の折茂慎一教授らの研究グループは、「1つの金属原子に9つもの水素が結合した新たな物質群」の合成に成功しました。これは量子科学技術研究開発機構の齋藤寛之上席研究員、高エネルギー加速器研究機構の池田一貴特別准教授、大友季哉教授、株式会社豊田中央研究所の 三輪和利主任研究員との共同研究による成果です。

 金属の中には、単独では水素と結合しにくい元素群 (=ハイドライド・ギャップ) が存在します。一方、これらの元素は錯体水素化物を形成することで多くの水素と結合することができます。しかし、クロムとその仲間であるモリブデン、タングステンは、ハイドライド・ギャップに属するにもかかわらず、錯体水素化物においても水素と結合しないとされてきました。これに対して、2015年、本研究グループは、クロムと水素が結合した錯体水素化物の合成が可能であり、例外であったクロムが一般的な金属より多い7つの水素と結合することを発見しました。

 今回研究グループは、残りの例外であるモリブデンとタングステン、またこれまで錯体水素化物の合成報告がなかったニオブとタンタルの4元素を含む錯体水素化物の合成に取り組みました。具体的には、理論計算と高圧合成技術を融合し、合成条件を最適化することでこれらの元素を含む4種の新たな物質群を合成しました。そして中性子などの量子ビームを利用し、1つの金属あたり9つもの水素が結合していることを確認しました。この成果により、ほとんどの金属元素と水素を結合させる技術が確立されたことになります。

 水素を高密度に含む物質群は、水素貯蔵材料や高速イオン伝導材料、超伝導材料としての応用が期待されるなど、近年多くの注目を集めています。本研究成果は水素を高密度に含む物質群の探索とその基礎・応用研究を拡大させる重要な成果として、平成29年 (2017年) 3月13日19時 (現地時間10時) に英国科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されます。

<成果の概要>
水素は化学的に極めて高い活性をもち、ほとんどの元素と結合して多様な水素化物を形成します。例えば、リチウムイオン電池の電気伝導を担うリチウムは、水素と結合してリチウム水素化物を形成します。また、富士山付近から湧き出る天然水に多く含まれ、血糖値を下げる効果のあるバナジウムは、金属の中でも特に多くの水素と結合できることから水素貯蔵材料としての研究が進められています。火山や温泉特有の卵の腐ったような臭いの元である硫化水素は、硫黄に水素が結合した気体です。最近、この硫化水素が150万気圧という超高圧下で固体となって超伝導を発現することが発見され、全世界的な話題となりました。
このように多くの元素と非常によく結合して様々な機能性を発揮する水素ですが、 周期表左から6番目の列から12番目の列に属する金属元素群とは常温常圧下で安定な結合を形成しないことが古くから知られていました。水素と結合する元素という観点で周期表を眺めたとき、すっぽり抜け落ちるこれらの元素群はハイドライド・ギャップと呼ばれています (図1) 。一方、ハイドライド・ギャップに属する元素群は、錯体水素化物※ 1を形成することで多くの水素と結合することができます。その例外が、周期表の左から6番目の列に属するクロムとその仲間のモリブデン、タングステンの3元素であり、これらはハイドライド・ギャップに属するにもかかわらず、錯体水素化物においても水素と結合しないと考えられてきました。これに対して研究グループは、2015年、クロムに水素が結合した錯体水素化物の合成が可能であり、例外であったクロムが一般的な金属よりも多い7つの水素と結合することを発見しました。

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           図1 ハイドライド・ギャップを表す図

周期表で左から6番目の列 (図ではクロム) から12番目の列 (図では亜鉛) に相当。これらの元素は単独では水素と結合しないものの、錯体水素化物を形成すると多数の水素と結合するようになる。クロムはこれまで錯体水素化物においても水素と結合しないとされてきたが、2015年、研究グループが7つの水素と結合することを発見。

<問合せ先>
東北大学 金属材料研究所
准教授 高木成幸 (たかぎ しげゆき)
TEL : 022-215-2094 FAX : 022-215-2091
E-mail : shigeyuki.takagi@imr.tohoku.ac.jp

東北大学 原子分子材料科学高等研究機構・金属材料研究所
教授 折茂慎一 (おりも しんいち)
TEL : 022-215-2093 FAX : 022-215-2091
E-mail : orimo@imr.tohoku.ac.jp