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J-PARC MLF 1月ニュース

 田中敬二九州大学教授のグループはSiO2上に塗布したナフィオン膜に着目し、水に浸漬させた状態での界面構造を中性子反射率法で評価し,分子設計だけでなく構造を制御することによってもプロトン伝導度を劇的に向上させることが可能であることを示しました.

詳細については下記の資料をご参照ください.
   ナフィオン/石英界面におけるプロトン伝導度の異方性

 反射率計BL16「SOFIA」を用いて,ナフィオン膜を水に浸漬させた状態で界面構造を観察しました.その結果,石英基板とナフィオン膜の界面に特徴的な積層構造が観測されました。これはナフィオン分子の親水性側鎖が偏析して含水量が多い"water rich layer"と、ナフィオン分子の疎水性主鎖が偏析して含水量が少ない"waterless layer"が交互に積層していることを意味しています.この結果は基板と平行方向および垂直方向に対して構造が異方性を有していることを意味していることから、薄膜中のプロトン伝導度、特に,基板と平行方向と垂直方向の異方性について、交流インピーダンス測定に基づくプロトン伝導度σの評価を行いました.この際、膜厚を変化させることによって異方性を有する界面層の比率を変化させ、その影響を評価しました.その結果,膜厚が減少し、界面層の割合が高くなるほどバルクの値から離れていくこと、そして,垂直方向のプロトン伝導度は薄膜化することによって減少していくのに対し、垂直方向では逆に増加することが明らかとなりました.これは界面層においては界面に水平方向に対して,水のチャネルが2次元的に広がっているため水平方向に対するプロトン伝導度が高くなる一方で、垂直方向に対してはwaterless layerに阻まれてプロトンの伝導度が劇的に減少していることを意味しています.

 以上のように、本研究では分子設計だけでなく構造を制御することによってもプロトン伝導度を劇的に向上可能であることを示すことに成功しました。また、具体的な結果は示しませんが,ナフィオン/SiO2膜を積層することにより、積層数に応じて面内方向のプロトン伝導度がさらに増加することも明らかになっており、これらの知見を実材料に生かすことによって、より高性能な燃料電池につながることが期待されます。

 本成果は下記のようにLangmuirに受理され、カバー論文として採録されました.
<参考文献>
Y. Ogata, T. Abe, S. Yonemori, N. L. Yamada, D. Kawaguchi, K. Tanaka
"Impact of the Solid Interface on Proton Conductivity in Nafion Thin Films"
Langmuir 34 (2018) 15483-15489.