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中性子産業利用推進協議会

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 平成31年3月19日(火)に研究社英語センター大会議室において平成30年度第2回残留ひずみ・応力解析研究会/微細構造解析プラットフォーム第4回放射光利用研究セミナーを「各種計測手法によるひずみと残留応力の計測」をテーマとして開催しました.92名の参加者がありました.

 構造物や部品に形成された残留応力は,静的・動的強度に大きく影響するため,重要な設計評価指標です.その測定方法には,破壊的方法や非破壊的方法,ならびに,有限要素法などによる解析などがあります.今回の研究会では,疲労強度の大家である村上敬宜先生に√area法による微小欠陥材の疲労強度評価法についてご講演いただくとともに,各種の残留応力測定方法,ならびに,表面改質材の残留応力測定例が紹介されました.

0319zan2018.png はじめに,林眞琴サイエンスコーディネーター(CROSS)が「J-PARC MLFの現状と産業利用」と題し,施設の概況を説明されました.

 <チュートリアル>では,初めに,村上敬宜九州大学名誉教授が「√area法による微小欠陥材の疲労強度評価と品質管理への応用」と題して講演され,微小欠陥や介在物の幾何学的パラメーターとして,√areaを,材料強度のパラメーターとしてビッカース硬度を選び,これらだけで,多くの材料の疲労限度が予測できるモデルを使い,品質管理への応用まで説明されました.続いて,三上隆男氏(IHI検査計測)が「DHD法,iDHD法およびContour法による残留応力測定」と題し,構造材料内部の残留応力を測定する方法のうち,応力解放法に属する三種について測定原理と測定事例を紹介されました.

0319zan2_2018.png <応力計測法>セッションでは6件の講演がありました.
 荻博次大阪大学教授は「電磁超音波共鳴による非接触応力評価」と題し,電磁超音波センサーを使った応力評価法の短所を共鳴法により克服して実施した数個の計測事例を紹介されました.
 杉原裕雄氏(レーザー計測)は「DIC 計測システムVIC-3D を使った残留応力測定について」と題し,画像相関計測法(DIC)であるVIC-3D の計測原理や概要を説明されました.
 渡辺智美氏(東京測器)は「ひずみゲージを使用した残留応力測定について」と題し,残留応力測定用のひずみゲージを使った測定上の注意と誤差要因について説明されました.
 西村昭彦氏(JAEA)は「耐熱FBG センサーによるNa 循環ループ建設溶接ひずみの緩和現象の発見-日本初カルノーバッテリーシステムへの適用について-」と題し,Fiber Bragg Grating (FBG) センサーによって,高温かつ高圧の流体を輸送する施設の配管やタンクの溶接部の健全性評価ができることを事例を示して説明されました.
 岡田亮二氏(ルネサスイーストン)は「半導体ひずみセンサー「STREAL」」と題して,半導体ひずみセンサーの原理や概略仕様,モジュールの構造,使用方法などの概要と応用を紹介されました.
 佐々木敏彦金沢大学教授はX線応力測定を1 秒程度で行うことが可能になる新技術を使い,溶接やレールに対する残留応力のマッピング測定へ適用した結果を紹介されました.

0319zan3_2018.png <表面改質>セッションでは4件の講演がありました.
 佐野智一大阪大学准教授は「フェムト秒レーザによるドライレーザピーニングとそのメカニズム」と題し,大気中で材料に直接レーザを照射することによってピーニング効果を付与することのできる「ドライレーザピーニング法」について放射光X線やXFELを使って解析した結果を説明されました.
 岡野俊之氏(オカノブラスト)は「ショットピーニング面における残留応力深さ分布の非破壊推定法」と題して,ショットピーニングにより生成される固有ひずみを直線または二次曲線分布と仮定し,熱応力解析理論を援用することで,残留応力の深さ分布を非破壊で推定できる方法を紹介されました.
 小川和洋東北大学教授は「コールドスプレー法を用いた超高強度鋼溶接継手部の疲労強度の改善」と題して,コールドスプレー法を用い,溶接止端部の幾何学形状の改善と,溶接継手部の疲労強度改善に成功した結果を説明されました.
 秋庭義明主査(横浜国立大学教授)は「中性子とX線回折によるSiC粒子強化アルミニウム合金の材料特性評価」と題して,X線法および中性子法を用いて金属基複合材料(MMC)の弾性変形特性を解析し,それを用いて疲労損傷検出の可能性について検討した結果を紹介されました.

0319zan4_2018.png 残留ひずみ・応力解析は長い歴史を持っていますが,材料強度の支配要因や,表面改質のメカニズムには,まだ解明すべき多くの課題が存在します.次々と新しい手法が開発され,解析技術も進歩しています.中性子施設として高出力で安定な状態を達成しつつあるJ-PARC MLFを利用することで,課題が解明されていくことを期待します.