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中性子産業利用推進協議会

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平成30年度ソフトマター中性子散乱研究会と第3回iMATERIA研究会の合同研究会を平成30年12月25日(火)にエッサム神田ホール401会議室において,「「製品そのもの」を評価する新しい散乱法を目指して」をテーマに開催しました.35名の参加者がありました.
0108soft.png今回の研究会では,小型中性子源の開発と動的核スピン偏極によるコントラスト変調や,反射・斜入射法によるフィルム表面の観察などの最新の計測技術を紹介するとともに,「製品そのもの」への適用事例を紹介し,今後の産業利用について議論することを目的としました.中性子や放射光の計測技術を横断的に使いこなすことにより,多成分複合系としての「製品」のその場観察を目指したいと考えています.

初めに,研究会主査である小泉智茨城大学教授が,開会挨拶され,研究会の趣旨を説明されました.

<新しい計測技術>のセッションの・動的核スピン偏極法の開発サブセッションでは,能田洋平茨城大学講師がDNP用7T超伝導マグネットの成果と今後の計画」と題して,BL20「iMATERIA」に核スピン偏極装置を開発し,磁場強度を従来機の3.5Tから7Tへと倍増させた結果,80%を超える水素核スピン偏極度を達成し,また,中性子ビームの偏極デバイスを整備し,両者を組み合わせたオンビーム実験の最新の成果を紹介されました.
住友ゴムの増井友美氏は「DNPのゴム材料への適用」と題して,動的核スピン偏極中性子コントラスト変調法が2成分系・3成分系の解析に有用であり,膨潤条件でのシリカ界面吸着ポリマーの解析に成功したことを紹介されました.

小型中性子源の開発のサブセッションでは,理研の大竹淑恵氏が「小型中性子源RANSと高速中性子反射イメージング法の開発」と題して,小型中性子源第2号機であるRANS-IIが2019年度から実験可能であること,J-PARCセンターや大学等との連携により,冷中性子源の高度化や小角散乱装置開発なども展開していることが報告されました.

小泉智茨城大学教授は「小型中性子源RANSの小角散乱装置(ib-SAS)の利用開始」と題して,材料試験を念頭に開発した「小型中性子源小角散乱装置(ib-SANS)」の概要を解説され,将来的には小型中性子源の利用により小角散乱等の測定が各研究機関の実験室で可能になることを紹介されました.

反射・斜入射法の最新技術のサブセッションでは,山本勝宏名古屋工業大学准教授が「軟X線斜入射散乱法による基板材料の開発」と題して,高分子薄膜(数100nm)における表面から膜厚方向に対する構造不均一性を解析するのに有効なテンダーX線(エネルギー2.4keV)を用いた斜入射小角X線散乱法を紹介され,いくつかの事例を報告されました.

上田悟茨城大学助教の代理で小泉智教授が「バルクフィルムを対象にした立体小角散乱と時分割臨界反射法の開発」と題して,膜面と垂直な膜厚方向の物質輸送」の理解と制御のために,「配向度」を「立体小角散乱」で,「連結性」を熱中性子の臨界反射を応用した手法で水(プロトン)の拡散係数で実測することより定量化する手法を紹介されました.

CROSSの宮﨑司氏は「ブロック共重合体粘着剤と被着体界面の構造解析」と題して 粘着剤の粘着力発現メカニズムを明らかにするために中性子反射率法を使うことの有効性を明らかにされ,また,種々の実用界面の評価への中性子反射率法の適用性についても説明された.

<新しい計測対象>のセッションでは,花王の坂井隆也氏が「香粧品における泡の価値と科学」と題して,シャンプーやフェイス/ボディウォッシュに代表される香粧品洗浄剤における泡が有する大変興味深い機能について説明されました.
吉村倫一奈良女子大学教授は「アミノ酸系界面活性剤が作る泡沫の中性子小角散乱」と題して,アミノ酸系界面活性剤が作る泡沫の構造と安定性について,中性子小角散乱を用いた研究を紹介されました.

BL20「iMATERIA」に導入された動的核スピン偏極によるコントラスト変調法は重水素置換なしに高分子材料のナノ構造を解析できる優れた手法であることが改めて分かった.小型中性子源でも橋梁検査だけでなく,材料科学の分野への適用も拡大していることは非常に喜ばしいことです.今回新しい計測対象として泡に関して貴重な講演がありました.中性子実験技術がさまざまな分野に適用拡大していくことを期待しています.