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中性子産業利用推進協議会

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 平成31年3月11日(月)につくば国際会議場「エポカル」2階201B会議室において平成30年度液体・非晶質研究会を「全散乱測定におけるS(q)導出の実際」をテーマとして開催しました.51名の参加者がありました.

 液体や非晶質の構造解析には中性子全散乱測定がよく利用されます.中性子全散乱の解析ではS(q) を使いますが,その導出には実験に応じて様々な工夫がなされています.今回の研究会のチュートリアルでは標準的な S(q) 導出方法を習得していただくことを目的としました.その他J-PARC MLF装置の状況報告と研究成果報告のセッションを実施しました.

 事務局の野間敬SC(CROSS)が当日の予定とJ-PARC MLFの最近の運転状況を報告した後,山口敏男主査(福岡大学教授)が開会挨拶されました.

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 <チュートリアル>として,大友季哉KEK教授が「全散乱測定におけるS(q)解析」の講義をした後,受講生の皆様がそれぞれ持参したPCにJ-PARC MLF BL21 NOVA の解析環境を構築し,SiO 2の中性子全散乱のデータを使って S(q) 導出の実習を行いました.

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 <J-PARC MLFの装置>セッションでは2件の講演がありました.
 服部高典氏(J-PARC)は「BL11 PLANETの現状と利用成果」と題して,超高圧中性子回折装置PLANETの特長と最近の成果を紹介されました.
 川北至信氏(J-PARC)は「中性子準弾性散乱・非弾性散乱分光器DNAの現状と将来計画」と題して,BL02に設置されたダイナミクス解析装置DNAの特長と最近の成果を紹介されました.

 <研究成果>セッションでは6件の講演がありました.
 亀田恭男山形大学教授は「中性子及びX線回折による液体水の構造解析」と題して,液体水の構造を端的に表す水素―水素,水素―酸素,酸素―酸素の部分分布関数及び,電子分布に関して新たに導出した構造情報を紹介されました.
 長井康貴氏(豊田中研)は「燃料電池内の生成水分布解析~X線による解析と中性子への期待~」と題して,放射光X線イメージングによって燃料電池ガス拡散層内生成水の解析結果を説明し,中性子イメージングへの期待を説明されました.
 山口毅名古屋大学助教は「液体の構造緩和と粘弾性」と題し,液体の粘性を微視的構造と結び付けて理解するために,中性子準弾性散乱による解析結果を報告されました.
 吉田享次福岡大学助教は「メソポーラスシリカ内のグリシン水溶液のダイナミクス」と題して,メソ細孔内に閉じ込められた溶液のダイナミクスを,中性子準弾性散乱によって解析した結果を報告されました.
 阿部洋防衛大教授は「イオン液体中に閉じ込められた水のナノ構造とダイナミクス」と題し,ウォーターポケットとしてゆるく閉じ込められた水の構造と動的挙動を中性子準弾性散乱によって解析した結果を報告されました.
 山田武氏(CROSS)は「リン脂質二分子膜中の水のダイナミクス」と題し,リン脂質二分子膜間の水のダイナミクスは中性子準弾性散乱測定から三種類に分類されることを示されました.最後に茨城県の峯村哲郎コーディネーターが閉会挨拶を行いました.

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 液体・非晶質の構造やダイナミクスを解析するため,J-PARC MLFの装置や解析手法は大きな威力を発揮することが明らかになりました.これらを活用して多くの成果が上がることを期待します.