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中性子産業利用推進協議会

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9月19日(水)に東北大学川内キャンパスにおいて開催された日本鉄鋼協会第176回秋季講演大会において,茨城県中性子利用研究会平成30年度第1回iMATERIA研究会を「微細組織形成過程解析のための観察と予測技術」をテーマとして開催しました.延べでは約100名の参加者がありました.

金属材料の集合組織を利用した特性制御は鉄鋼を始めとする多くの金属材料の基盤技術です.制御過程において生じる塑性変形や再結晶,相変態などの現象を科学的に理解するためには結晶方位について注目する必要があります.より詳細な理解には局所挙動と全体平均挙動,理論計算と実験・観察など,多角的な視点からの議論が望まれます.そのため,結晶方位とその分布に起因したミクロ組織現象の解析と解釈,さらにシミュレーションを用いた予測技術が材料開発の進展に期待されています.本研究会では,結晶方位および集合組織をキーワードに測定と解析,シミュレーション,特性評価について討論しました.

 午前中のセッションでは,佐藤成男茨城大学教授の開会挨拶に続いて,Keynoteとして,米国ロスアラモス国立研究所のDr. Vogel「Microstructural Studies of Steels Using Neutron Diffraction」と題してLANSCEの集合組織測定装置「HIPPO」におけるさまざまな成果を紹介された.続いてInvitedとしてDr. Vogelの元で研究されていたJFEスチールの高城重宏氏が「Texture simulation of a severely cold rolled low carbon steel using polycrystal modeling」と題して講演された.その後,集合組織の測定に関して,小貫祐介茨城大学助教が,Co-Cr合金におけるひずみ誘起マルテンサイト編隊を伴う集合組織,三菱マテリアルの伊東正登氏が,Ni合金における双晶変形を伴う集合組織形成モデリングについてそれぞれ講演されました.

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午後の初めのセッションでは,富田俊郎茨城県技監が「J-PARC MLFパルス中性子ビームラインの産業利用の状況」について説明された後,「鋼の変態集合組織とバリアント選択則」,新日鐵住金の田中泰明氏が「薄鋼鈑の拡散型変態における集合組織形成に及ぼす温度の影響」,新日鐵住金の畑 顕吾氏が「低炭素鋼のα-γ組織の3次元再構築と結晶学的解析」と題して講演されました.
 休憩を挟んで,JFEスチールの早川康之氏が「冷延鋼板の集合組織発達に及ぼすフェライト形成元素の影響」,新日鐵住金の片岡隆史氏が「Fe-Si鋼板の二次再結晶方位に0926IMATE3.png及ぼす冷延圧下率の影響」,神戸製鋼所の伊藤良規氏が「チタン合金の鍛造プロセスにおける局所集合組織領域の微細化技術」,高山善匡宇都宮大学教授が「FCC金属のEBSD法によるひずみ評価」と題してそれぞれ講演されました.最後に高山教授が2020年9月に大阪府堺市で開催されるICOTOM19について紹介されました.

 ほとんどの講演が,集合組織形成に及ぼす各種因子の影響とモデリングに関わるもので,幅広い視点から活発な議論が展開され,集合組織に関わる研究者にとっては大変有益な研究会であったと考えます.