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中性子産業利用推進協議会

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 3月15日(水)に首都大学東京南大沢キャンパス6号館において、茨城県中性子利用促進研究会の平成28年度集合組織分科会を開催しました。本分科会は、日本鉄鋼協会第173回春季講演大会のシンポジウム「中性子・X線回折、散乱法による金属ミクロ組織解析の課題と展望」として、日本鉄鋼協会の「鉄鋼のミクロ組織要素と特性の量子線解析」研究会、「鉄関連材料のヘテロ構造・組織の解析研究」フォーラム 、「微視的集合組織の解析と制御」自主フォーラム、中性子産業利用協議会、および本分科会の5者が共催で開催しました.
 プログラムは、放射光・X線・中性子を用いたラインプロファイル解析による転位組織などの微細組織解析研究、中性子による集合組織及び複相分率解析研究、および,中性子小角散乱法によるナノ構造解析研究をテーマとして,全部で11件の講演がありました。


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 シンポジウム冒頭の開会挨拶では、本分科会代表で、ヘテロ構造・組織の解析研究フォーラムの座長でもある佐藤成男茨城大学教授が本会の主旨を説明されました.

 初めに、基調講演として高木節雄九州大学教授が「回折ヤング率によるWilliamson-Hall plots の補正ならびにDirect fitting法の提案」と題して、ラインプロファイル法における独自の手法を提案され、活発な質疑応答が交わされました。続いて、JAEAの菖蒲敏久氏が「放射光ラインプロファイル解析法による鉄鋼材料転位密度評価」、山中謙太東北大学助教が「X線回折ラインプロファイル解析を用いた生体用Co-Cr-Mo合金の高強度化メカニズムとひずみ誘起マルテンサイト変態挙動の評価」、そして佐藤成男茨城大学教授が「マルテンサイト変態と転位による強化機構の同時解析を指向した中性子回折法の確立」と題して、ラインプルファイル法による最近の成果を講演されました。 

 昼食後には,富田俊郎茨城県技監が「iMATERIA@J-PARC MLFの産業利用と最近の動向」、井上博史大阪府立大学教授が「結晶方位分布関数による立方晶金属の曲げ性と深絞り性の同時予測」、小貫祐介茨城大学助教が「中性子線回折による相分率・集合組織同時測定」,㈱日鉄住金テクノロジー(現茨城県)の富田俊郎氏が「鉄鋼の変態集合組織とバリアント選択則;マルテンサイトとフェライトの違い」と題して、集合組織や複相分率測定研究の現状を中心に講演されました.
 
 休憩を挟んで,大沼正人北海道大学教授が「パルス中性子源を利用した小角散乱測定とその金属材料への応用」、大場洋次郎京都大学助教が「中性子小角散乱法によるHPT加工した極低炭素鋼中の磁気構造の解析」、JAEAの諸岡聡氏が「中性子小角・広角散乱を用いた複相組織鋼の焼戻し組織の定量解析」と題して、金属材料分野における中性子小角散乱の最近成果を講演されました.
 
 本分科会は,昨年同様に日本鉄鋼協会の定期講演大会の一環として開催しましたが、会場はほぼ満席で,最終的には昨年を大きく上回る167名の参加者がありました。正にこの分野に対する関心の高さを窺わせる盛況ぶりで、鉄鋼材料を中心とする金属材料の分野における中性子や放射光による組織解析の現状を概観できる非常に有意義なシンポジウムとなりました。また、特定分野の専門家が集まる学協会の講演大会において中性子実験技術の有用性をアピールする研究会を開催するのは、聴講者と主催者の双方にとって効率的な情報交換の場となることが昨年と今年の分科会の盛況ぶりで裏付けられ、今後もこのような形での研究会開催を積極的に検討していきたいと考えています。