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中性子産業利用推進協議会

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8月10日(金)に東京飯田橋の研究社英語センター大会議室において,第1回iBIX-JAXA-KEK物構研-QST合同タンパク質研究会を
「茨城発、世界へ!タンパク質の構造を解き明かす」
をテーマとして開催しました.42名の参加者がありました.

 茨城県生命物質解析装置iBIXは,世界最高性能のタンパク質単結晶用飛行時間型中性子回折装置で,水素やプロトンを観測できる特長を生かし,科学的意義と独自性のある研究として,多種のプロトン互変異性の存在,水素結合の存在,骨格構造から決定できないアミノ酸残基の側鎖の水素原子の配向等の研究を推進しています.
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,微小重力環境下でのタンパク質結晶化技術の開発を推進し,「きぼう」での宇宙実験による高分解能のタンパク質の構造解析や初めての結晶化の成功など多くの実績を挙げています.近年では製薬企業の利用を推進し,創薬標的タンパク質と医薬品候補物質との複合体構造の高精度構造解析に貢献しています.
高エネルギー研究機構(KEK)物質構造科学研究所は,構造生物学研究センターとPFを有し,30年に亘り日本の構造生物学をリードしてきました.昨年度,クライオ電子顕微鏡を導入し,構造解析の幅を広げています.さらに産学官の共同研究を推進しながら構造情報利用を新しい分野へと拡大すべく活動しています.
量子科学技術研究開発機構(QST)では,タンパク質の構造研究において量子レベルでの機能解明を目指し,複合量子ビーム利用(X線・中性子,回折・散乱など)を積極的に推進しています.
これらの4機関が一堂に会し,タンパク質に代表される生体物質の構造解析の更なる飛躍を目指して多くの分野の方々と結晶化方法の探索,異なった視点からの構造解析の意義,タンパク質と化合物の疎水的相互作用の重要性,ならびに,酵素と反応中間体の構造から見える反応機構について議論しました.

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 午前中のセッションでは,千田俊哉KEK教授の司会の元,日下勝弘茨城大学教授が「茨城県生命物質解析装置iBIXの特長を生かした研究の紹介」,山田太郎茨城大学准教授が「iBIXを利用したヒトα-トロンビン活性部位の水素結合様式の解明」,JAXAきぼう利用センターの吉崎泉氏と山田貢氏が「JAXAにおける高品質タンパク質結晶生成に向けた取り組み」,日竎隆雄福井県立大学教授が「表面ループの構造的可塑性は酵素機能とどう関わるか,を見る」と題してそれぞれ講演されました.
 午後初めのセッションはQSTの玉田太郎氏の司会の元,CROSSの片岡幹雄氏が特別講演として「イェロープロテインの構造と光反応―巨大結晶化、中性子結晶構造解析、時間分解結晶構造解析―」,千田俊哉KEK教授が「KEK・物構研・構造生物学研究センター紹介」,田辺幹雄KEK准教授が「高エネ機構における膜タンパク質の構造解析に向けた取り組み」と題してそれぞれ講演されました.

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 午後後半のセッションはJAXAの吉崎泉氏の司会の元,産業技術総合研究所の竹内恒氏が特別講演として「立体構造解析により実現した細胞のGTPエネルギー検知機構の発見」,QSTの玉田太郎氏が「量子科学技術研究開発機構における研究紹介」,中村照也熊本大学助教が「ヒト酸化ヌクレオチド加水分解酵素の構造学的研究 ~水素原子レベルでの酵素反応機構の解明を目指して~」と題してそれぞれ講演されました.

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 4機関の関係者が一堂に会し,タンパク質に代表される生体物質の構造解析の意義を異なった視点から議論する初めての機会で,中性子構造解析の特長を生かした新たな見解を示す研究の紹介,最新の膜たんぱく質の構造解析,酵素の構造から創薬への展開など多くの魅力的な講演があり、議論も活発に行われ活気に満ちた研究会となりました.来年度以降も同じようなかたちで議論を進めることにより日本の生命科学が進展することが期待されます.