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中性子産業利用推進協議会

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11月14日(水)に平成30年度非破壊検査・可視化・分析技術研究会をエッサム神田ホール2号館501会議室において「中性子ラジオグラフィによる各種構造物・部品のイメージング」をテーマに開催しました.44名の参加者がありました.

初めに,海老原主査(早稲田大学教授)から開会挨拶があり,イメージング技術の社会貢献への期待,ならびに,JRR-3の2020年秋の運転再開の見通しについて言及されました.

1114hihakai.png<チュートリアル>セッションでは,篠原武尚氏(J-PARC)が「ラジオグラフィの基礎」と題して,中性子を用いたラジオグラフィの基本的な技術を説明するとともに,現在J-PARCで開発が進められているパルス中性子を用いたエネルギー分析型イメージング法を紹介されました.加美山隆北海道大学准教授は「ラジオグラフィの応用」と題して,
中性子イメージングにおける最近の成果を紹介するとともに,手法の弱点を補うための中性子とX線の複合利用法について紹介されました.

<実測例>セッションでは,兼松学東京理科大学教授が「鉄筋コンクリートへの適用とその展開」と題して,JRR-3のTNRFとRESA,および,J-PARC MLFのBL19とBL22を利用して得られた,コンクリート中におけるひび割れ部における水分の侵入挙動や鉄筋周りにおける錆の発生挙動,ならびに,鉄筋の荷重分担挙動について詳しく紹介されました.

1114hihakai2.png瀬戸山大吾氏(豊田中央研究所)は「豊田ビームラインにおける放射光3D材料強度評価技術のこれまでと今後」と題して,SPring-8に設置したBL33XU「豊田ビームライン」において開発してきた「走査型3DXRD顕微鏡法」と「自転・公転型スパイラルスリットに よる2DXRD法」,「ラミノグラフィ法」を紹介され,具体的な適用例として,鉄多結晶材料における引張変形による結晶回転を精度よく非破壊観察した結果などを紹介されました.
甲斐哲也氏(J-PARC)は「波長依存中性イメージングによるリチウムイオン電池充電量の空間分布の可視化」と題して,ブラッグエッジイメージング技術を用いたグラファイトの面間距離の測定により,充電量の空間分布を知ることができるため,市販車のリチウムイオン2次電池において充電量の分布が不均一になっていることを観察した結果を報告されました.
廣井孝介氏(J-PARC)が「偏極パルス中性子イメージングによる磁気製品の磁場観察」と題して,磁気イメージング手法の原理を説明するとともに,小型のモーターやトランスにおける磁場分布の観察に応用した結果を紹介されました.

1114hihakai3.png鬼柳善明名古屋大学教授は「中性子を用いた日本刀研究」と題して,中性子ブラッグエッジ透過法では,結晶構造や組織構造,結晶子サイズなどの情報を2次元空間で得ることができるため,室町期と現代の日本刀を測定し,刀毎に違った構造や組織を有していることを報告されました.
 最後に,峯村哲郎茨城県CDが平成30年度の研究会の開催スケジュールと直近の非破壊検査・可視化・分析技術研究会参加者に関係のありそうな研究会の概要を紹介されました.

1114hihakai4.png今回の研究会では,大きな構造物(鉄筋コンクリート)から小さな部品,さらには,文化財の日本刀まで,中性子ラジオグラフィの対象が広範に渡ることが示されました.また,ブラッグエッジイメージングによる結晶情報や偏極中性子イメージングによる磁場情報など,中性子だからこそ得られる情報を如何に解釈し利用するかについて活発な議論が交わされました.放射光X線を使った研究に関する報告もありましたが,質疑応答が最も活発でした.中性子と放射光の相補性を理解し,適切に利用することが有効であることを改めて感じました.今後今回得られた情報を元に,J-PARC MLFへの課題申請や技術開発を進めていただきますようお願いしたいと思います.