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中性子産業利用推進協議会

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3月19日(月)に千葉工業大学新習志野キャンパスに置いて開催された日本鉄鋼協会第175回春期講演大会において,茨城県中性子利用促進研究会平成29年度第2回集合組織分科会を「材料強度特性のミクロ組織メカニクス-X線・中性子の新しい視点-」をテーマとして開催しました.延べでは約160名の参加者がありました.

材料の力学的性質や破壊現象を理解,予測するには微視的構造を"動的","定量的"に観察し解析する必要があります.この課題に対するX線や中性子を用いた回折法やイメージング技術の開発は目覚ましく,従来法では観察し評価し得なかった情報が得られつつあります.また,普段手にする実験室X線回折においても貴重な情報が埋もれており,新しい解析法により材料のミクロ組織と強度特性の理解が正確に把握することが可能になっています.本分科会では,これらX線や中性子を用いた研究成果を討論すると共に,多くの研究者や開発者がその手法と解析法を利用するきっかけとすることを目的としました.

 午前中のセッションでは,佐藤成男茨城大学教授の開会挨拶に続いて,富田俊郎茨城県企画部技監が「J-PARC MLFパルス中性子ビームラインの産業利用の状況」を説明されました.その後,集合組織測定に関わる話題として,小貫祐介茨城大学助教が「中性子回折計iMATERIAを用いた集合組織と相分率のその場測定環境の構築」,理研の大竹淑恵氏が「理研小型中性子源RANS回折装置による鉄鋼組織評価の現状と今後の小型の展開」,JAEAの徐平光氏が「ひずみ・応力+集合組織の同時評価技術とその応用研究の最前線」,鈴木茂東北大学教授が「鉄系形状記憶合金における構造変化の量子ビームによる解析」と題してそれぞれ講演されました.

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 午後の初めのセッションでは主として塑性変形に関わる話題が提供されました.
小林正和豊橋技術科学大学教授が「放射光X線CTによるAl-Mg合金の冷間圧延における内部局所塑性ひずみ分布評価」,KEKの渡邉稔樹氏が「CFRPのき裂進展のin situ & 3D & 非破壊観察」,KEKの丹羽尉博氏が「レーザー衝撃による金属破壊の動的観察」,J-PARCセンターのハルヨ氏が「変形中その場中性子回折を用いた鉄鋼材料の変形機構解明」,山中謙太東北大学助教が「チタンの電子ビーム積層造形における組織形成」と題してそれぞれ講演されました.
<基調講演>セッションでは,高木節雄九州大学教授が「Direct fitting/Modified Williamson-Hall法によるフェライト鋼の転位密度」と題して講演され,プロファイル解析の有用性,ならびに,回折面依存性を定量的に評価する手法を紹介されました.
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 最後のセッションではラインプロファイル解析に関する話題が提供されました.増村拓朗九州大学助教が「オーステナイト鋼のラインプロファイル解析におけるDF/MWH法と従来法の比較」,茨城大学学生の伊藤美優氏が「銅合金の延性に及ぼす転位の特徴」,佐藤成男茨城大学教授が「ラインプロファイル解析から求められる転位パラメーターと強度の関係」と題してそれぞれ講演されました.

中性子や放射光X線による先進的なミクロ組織解析法の紹介,ならびに,それら手法から得られるデータの意義,さらに,それらの情報を元に考察される金属材料の強度と破壊について討論しました.鉄鋼や非鉄に携わる多くの研究者の皆さまにご参加いただき,金属組織解析における中性子産業利用が今後益々広がることが期待されます.