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中性子産業利用推進協議会

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平成30年1月30日(火)に東京飯田橋の研究社英語センター大会議室において,平成29年度薄膜・界面研究会を「中性子反射率による界面の構造解析」をテーマとして開催しました.40名の参加者がありました.

反射率法は薄膜・界面構造の精密解析に優れた手法であり,最近,さまざまな界面構造解析へ適用されている.本研究会では,反射率ユーザーの拡大に向けて中性子反射率法の基本原理を説明するともに代表的な解析ソフトウエアの利用方法の実習をおこなっていただいた.また,BL16「SOFIA」とBL17「SHARAKU」の装置概要と得られている成果を紹介していただきました.

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<チュートリアル>セッションでは,山田悟史KEK助教が「中性子反射率法の原理」と題して,中性子反射率法の原理から実際のモデル系構築まで紹介されました.

 <薄膜構造解析の実際>セッションでは,主査である田中敬二九大教授と川口大輔准教授,ならびに,犬束学特任助教のご指導のもと,反射率法解析のソフトウェアである「PARRATA32」を使って実際に反射率の測定結果を解析するという実習を行っていただいた.

<反射率装置>セッションでは,山田悟史KEK助教が「中性子反射率計SOFIAの現状と成果」と題して,OFIAの仕様と実験環境ならびに利用成果を紹介されました.また,阿久津和宏氏(CROSS)が「中性子反射率計SHARAKUの現状と成果」と題して,SHARAKUの最近の装置開発状況と偏極・非偏極中性子反射率の研究成果について説明するとともに,新利用者支援事業(New User Promotion:NUP)や共同研究,他機関との連携研究などによる成果創出活動についても紹介されました.

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<BL17における学術成果>セッションでは,丸山龍治氏(J-PARC)が「斜入射偏極中性子散乱による磁気多層膜の面内構造解析」と題して,中性子ビームの偏極に用いられるFe/Si多層膜について,BL17等で得られた偏極中性子鏡面や非鏡面反射,斜入射小角散乱の測定結果,ならびに,それらにより示唆されるバルクとは異なる磁性について紹介されました.また,熊田高之氏(JAEA)は「核偏極中性子反射率法による多層膜高分子材料の表面・界面構造研究」と題して,中性子の軽水素核に対する散乱能がスピンの向きに強く依存する特性を用いて,薄膜試料における水素核偏極度を変化させながら得られる複数の偏極中性子反射率曲線から複雑な表面・界面構造を一意に決定する手法である偏極中性子反射率法を世界に先駆けて開発した結果を紹介されました.さらに,秋山了太東京大学助教は「ポロジカル(結晶)絶縁体/強磁性体ヘテロ構造における磁性」と題して,トポロジカル結晶絶縁体SnTeと強磁性体Feの薄膜接合部におけるSnTe側への強磁性の染み出しを,BL17「SHARAKU」による偏極中性子反射率法とX線反射率測定を併用して解析した結果,SnTe側にFeからの強磁性が数nm程度染み出していることが分かったことなどを紹介されました.

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 <産業利用>セッションでは,里川雄一氏(DIC)が「コーティング材料の設計に向けたポリマー薄膜の溶媒膨潤挙動に関する基礎検討」と題して,種々のコーティング材料における液体との接触による膨潤挙動を理解するために,コーティング材料としてのスチレン-アクリル系樹脂を対象に,ポリマーの構造や溶媒の種類が溶媒接触時のポリマー薄膜の膨潤挙動に及ぼす影響を中性子反射率測定により評価した結果などを紹介されました.伊藤恵利氏(メニコン)は「コンタクトレンズ素材の構造解析 表面特性把握への挑戦」と題して,疎水性のシリコーン成分を添加した両親媒性素材(シリコーンハイドロゲル)で製造されたコンタクトレンズを用いてレンズ最表層に存在する含水量を中性子反射率法により分析し,ゲル素材の表面構造の評価を試みた結果を報告されました.

<施設の利用方法>セッションでは,宮﨑司氏(CROSS)が「J-PARC MLF/CROSS/茨城県BLの利用方法」と題して,J-PARC MLFとCROSSならびに茨城県ビームラインにおける学術・産業利用の現状を報告するとともに,利用方法や相談方法などについて説明されました.

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今回は,<薄膜構造解析の実際>セッションにおいて反射率法の解析方法を実地に実習していただき,ソフトウェアの使い易さと解析の収束性などを理解していただいた.反射率計における成果では偏極中性子を用いた薄膜磁性材料の構造解析を紹介していただき,偏極中性子反射率法の優位性を理解していただいた.産業利用成果についても2件の講演があり,中性子反射率法実験を身近に感じていただけたものと思います.これを機会に多くの材料分野の皆さまのご利用を期待しています.