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中性子産業利用推進協議会

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平成29年11月24日(金)に東京神田のエッサム神田ホール401会議室において,平成29年度金属組織研究会を「金属組織研究会による共同実験・基礎実験の検討」をテーマとして開催しました.32名の参加者がありました.

金属組織研究会では,中性子利用に関して基礎から最新の応用展開までを幅広くご紹介するというスタンスで活動を進めて来ました.しかしながら,発足から5年を経過し,産業界メンバーの皆様のニーズに即した研究会活動となっているかについては改めて見直していく必要があると考え,産業界に潜在する多くのポテンシャルの中から中性子利用によって新たな突破口が見えるような研究のきっかけとなる研究会を目指し,今回は「中性子利用研究への入り口」の明確化と最新の応用研究が示す新たな研究の方向性をテーマとしました.また,今後,研究会からの共同実験提案を目指して,参加者の皆様との議論の場も設けました.

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<チュートリアル>セッションでは,JFEテクノリサーチの佐藤馨氏が「電子顕微鏡と量子ビームを活用した材料研究の最前線 ~ 逆空間情報をもっと活用すべし ~」と題して,最新の電子顕微鏡による観察技術と量子ビームとの相補的利用による高度な材料研究の取り組みについて講演されました.

 <中性子実験施設>セッションでは,富田俊郎茨城県企画部技監が「J-PARC MLFと産業利用の現状」と題して,J-PARC MLF全体における課題採択状況,産業利用の採択状況の概要,茨城県BLにおける課題採択状況,ならびに,産業利用による主要な成果などを紹介されました.また,峯村哲郎茨城県CDが「J-PARC MLF/CROSS/茨城県の活用方法」と題して,MLFに設置された実験装置の機能を概観するとともに,それらを活用するための利用者支援体制や課題申請制度について説明されました.

<中性子による金属材料研究>セッションでは,理研の大竹淑恵氏が「RANS1による回折実験 〜中性子実験への新たな入り口〜」と題して,最新のRANSにおける鉄鋼材料組織観察結果などを紹介されました.また,物材機構の澤口孝宏氏が「Fe-Ni-Si系合金の低サイクル疲労におけるin situ中性子回折」と題して,Fe-Mn-Si基合金において,引張圧縮の繰返し変形下でオーステナイトとマルテンサイトの正逆変態が可逆的に生じていることを,Fe-30Mn-(6-x)Si-xAl (x=0~3wt%)合金の低サイクル疲労試験中その場中性子回折実験により明らかにされた結果を報告されました.

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<中性子利用研究への誘い〜共同実験・基礎実験検討会〜>セッションでは,JAEAの諸岡聡氏が「in situ回折実験、非破壊応力測定への誘い」,鈴木淳市氏が「小角・広角散乱実験への誘い」,JAEAの大場洋次郎氏と北海道大学大学院の石田倫教氏が「新技術「小角散乱・回折同時測定技術」への誘い」と題して,それぞれ,応力測定,小角散乱,小角散乱&回折同時測定という実験技術の最新情報を紹介されるとともに,いくつかの実験例を紹介されました.

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最後に,大沼正人主査の司会のもと,金属組織研究会活動の今後の進め方に関する議論が行われました.

今回は,チュートリアルや実験施設の現状報告に加えて,研究会開催の本来の目的の1つである「共同実験の提案」を目指して,研究会参加者に共同実験の提案を呼びかけるセッションを設けました.施設関係者から金属材料における中性子構造解析のいろいろな側面が紹介され,共同実験テーマ設定について具体的な議論がありました.ブラックエッジや小角散乱など金属材料にとって比較的馴染みの薄い測定手法に興味が集まりましたが,残念ながらテーマを絞るまでには至りませんでした.しかしながら,このような試みは研究会本来の目的達成のために必要であり,今後も機会をみて企画して行きたいと考えています.