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中性子産業利用推進協議会

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平成29年11月8日(水)に東京神田のエッサム神田ホール2F多目的ホールにおいて,平成28年度非破壊検査・可視化・分析技術研究会を「小型中性子源とイメージング技術」をテーマに開催しました.50名の参加者がありました.

J-PARC MLFにおいて各種の非破壊検査・可視化・分析技術の開発が進んでいます.将来的には学術・産業利用向けの小型中性子源の活用も始まることが期待されます.それに向けて現在,BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)用の小型中性子源であるiBNCTの開発が進んでいます.今回の研究会ではiBNCTの開発状況とその将来展望を概観するとともに,CTイメージング技術を紹介しました.

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初めに,研究会主査である海老原充首都大学教授が開催趣旨を説明されたあと,<施設の概況>セッションでは,林眞琴氏(CROSS)がJ-PARC MLFと産業利用の現状を紹介されました.

<チュートリアル>では,三浦勉氏(産総研)が「中性子を用いた元素分析技術」と題して,中性子放射化分析法の原理や特徴,適用可能性を説明され,さらに,国家計量標準機関の国際同等性を検証するために実施されている国際比較での実績,および精確な分析値が必要な化学分析用標準物質の値付けでの実績を応用例として紹介されました.
また,篠原武尚氏(J-PARC)が「J-PARCのイメージング装置RADENの現状」と題して,J-PARC MLFに整備されたBL22「RADEN」における中性子可視化技術開発の現状について紹介されました.

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<BNCTの現状>セッションでは,内藤富士雄KEK教授が「iBNCT用加速器の開発状況」と題して,KEKと筑波大が共同で東海村の「いばらき中性子医療研究センター」に建設中の8MeV陽子線形加速器を用いた中性子ホウ素捕獲療法(BNCT)用の装置の現状として,BNCTに必要とされる熱外中性子が109n/cm2/s台に達していること,ならびに,今後の展望について報告されました.

熊田博明筑波大学准教授は「小型加速器ベースBNCT用中性子源の開発と将来展望」と題して,筑波大学グループが開発しているRFQ+DTL加速器を基本としたiBNCTの開発整備状況と,これをベースにした学術・産業利用向けの小型中性子源の開発状況を紹介されました.
小野公二京都大学名誉教授は「世界のBNCT研究を先導するKURRIでのBNCT研究」と題して,京都大学原子炉実験所(KURRI)では,BNCT(ホウ素中性子捕獲療法)を1974年以来,脳腫瘍や皮膚の悪性黒色腫,再発頭頸部癌に対して約600件適用した実績を紹介され,その成果を元に,住友重機械とBNCT専用のサイクロトロン中性子照射システムを共同開発して2012年より治験を開始している状況を紹介されました.

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<中性子CT>セッションでは,松本吉弘氏(CROSS)が「RADENにおける中性子CTイメージングの現状」と題して,J-PARC MLFに設置されたBL22「RADEN」におけるパルス中性子トモグラフィの測定原理を説明されたあと,装置の現状と今後の計画,ならびに,中性子トモグラフィを実製品に応用した結果を紹介されました.

浅野等神戸大学准教授は「中性子ラジオグラフィによるエネルギー機器の診断」と題して,中性子ラジオグラフィによる冷凍サイクルやエンジン,熱交換器などのエネルギー機器,電池反応によって生じる結露水の挙動が重要となる固体高分子形燃料電池などの可視化事例を示し,本計測法の可能性についても紹介されました.

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中性子イメージングは機械部品や構造体の非破壊検査技術として期待が高まっています.J-PARC MLFのBL22「RADEN」ではCTイメージング技術の開発が進み,自動車のラジエータにおける冷媒の可視化も実施されており,今後益々利用が拡大するものと期待されます.一方,加速器ベースのBNCT(ホウ素中性子捕獲療法)技術の開発も進み,治験も開始されています.そのBNCT用加速器の開発成果を元に,学術・産業利用向けの小型中性子源開発も進捗しており,早期の実用化を期待したいと思います.