↑member only

中性子産業利用推進協議会

〒319-1106
茨城県那珂郡東海村
白方162-1
いばらき量子ビーム研究センター D201
中性子産業利用推進協議会事務局
TEL:029-352-3934
FAX:029-352-3935
お問い合わせはこちら

カウンタ: 

東北大学大学院理学研究会
東京理科大学
茨城大学
東北大学金属材料研究所
高エネルギー加速器研究機構
J-PARCセンター
総合科学研究機構

【発表のポイント】
・コバルト酸化物の組成制御により新しいタイプの半導体を発見
・絶縁状態と磁気膨張の起源をスピン状態の量子重ね合わせ機構により説明することに成功
・この物質系を原型とした電気を流さない省エネ型量子コンピュータの基本素子となりえる励起子絶縁状態の実現に期待

0124kobaruto.png

図1 スピン状態制御の設計図

左側と右側の模式図は,陰イオンが八面体配位したCo3+やFe2+に発現する低スピンと高スピン状態を示す.6つのd電子が三重縮退したt2g軌道と二重縮退したeg軌道を異なる配置で占有している.中心の領域は異なるスピン状態の量子重ね合わせなどの特異な状態を示す.LaCoO3へのSc置換は橙色の矢印のようにその制御パラメータとして働く.

東北大学大学院理学研究科の富安啓輔助教,東京理科大学理工学部の岡崎竜二准教授,茨城大学フロンティア応用原子科学研究センターの岩佐和晃教授,東北大学金属材料研究所の野島勉准教授,高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の神山崇教授,石川喜久研究員(現:総合科学研究機構),日本原子力研究開発機構J-PARCセンターの河村聖子研究副主幹らの共同研究チームは,低温で磁石としての性質を示さないことで知られるコバルト酸化物LaCoO3のCoをScで化学置換した新たな物質LaCo1-yScyO3において,元のLaCoO3とは磁気・電気・熱的性質の全く異なる絶縁状態が現れることを発見しました.また,X線回折・中性子分光実験の結果,この絶縁状態が電子スピンの総和が異なる2種類の原子状態(低スピンと高スピン)の量子力学的な重な合わせにより現れるという,これまでに例のない発現機構を突き止めました.この成果は励起子絶縁と呼ばれる歴史的に観測例の少ない量子力学的な凝縮状態の糸口をつかんだものとして,その実現だけでなく,将来的な新規量子コンピュータ阻止への発展が期待されます.

本研究の成果は平成30年10月7日にドイツの国際科学論文誌Advanced Quantum Technologiesに掲載され,実験データが表紙を飾りました.

詳細につきましては下記のURLをご参照ください.
https://arxiv.org/abs/1712.09169 (10.1002/qute.201800057 )
または
http://j-parc.jp/ja/topics/2018/press181214.html